森を歩いていると、穴だらけの落木に出会うことがあります。見るからに不自然なその穴の数々は、まるで誰かが丹念に掘り込んだかのよう。これは、おそらくアオゲラが開けたものではないかと思われます。枯れて落ちた木なのか、それとも穴を開けすぎた結果、耐えきれずに倒れてしまったのか??真相はわかりませんが、いずれにせよこの木には、アオゲラの存在が深く刻まれています。
アオゲラは、日本固有のキツツキの仲間で、その大きさはヒヨドリを一回り大きくしたほど。街中でよく見かける小さなコゲラとは違い、かなり存在感のある鳥です。緑がかった体に赤い額が特徴的で、森の中では意外と目立ちます。
彼らの大きな役割のひとつは、木を枯らす原因となる虫を捕食すること。特にカミキリムシの幼虫が好物で、木の幹に開いた虫食いの跡を見つけると、鋭いくちばしで容赦なく穴を広げ、中に潜む幼虫を引っ張り出します。そのため、アオゲラが多く活動する森は、意外にも健康な木々が多いのです。
また、アオゲラが開ける大きな穴は、他の小鳥たちにとって絶好の巣穴となります。シジュウカラなどの小鳥たちは、自分では木に穴を開けることができないため、アオゲラが残した古巣をそのまま再利用。彼らにとっては「高級住宅」ともいえる住処が提供されるわけです。アオゲラ自身は、ただ生きるために行動しているだけなのに、その営みが結果的に他の生き物たちの役に立っているというのは、自然の中でよく見られる美しい連鎖のひとつ。
人間もまた、自分のために一生懸命生きることが、気づけば誰かの役に立つ??そんな理想的な生き方ができればいいのですが、そう簡単にはいかないものです。森に残されたアオゲラの仕事を眺めながら、そんなことをふと考えました。